こんにちは、税理士法人LECTの森嶌です。
今年はすぐに暑くなることなく、緩やかな気温上昇で過ごしやすいですね。

さて今日は、多くのパートタイマーや主婦（主夫）の方にとって身近な問題、「年収の壁」についてわかりやすく解説します。

年収の壁とは？
「年収の壁」とは、一定の年収を超えると税金や社会保険料の負担が急に重くなったり、配偶者控除の対象から外れたりするラインのことを指します。
壁を越えた瞬間に「手取りが逆に減る」というケースもあり、非常に注意が必要です。

主な「年収の壁」はこちら
以下に、よく話題にされる主な年収の壁を紹介します。

①103万円の壁（所得税）
年収が103万円以下であれば、本人の所得税がかかりません。
また、配偶者がこの条件を満たせば、**配偶者控除（38万円）**を受けることができます。

👉 給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円 = 103万円
つまり、年収103万円以下であれば所得税が非課税になります。

②106万円の壁（社会保険・厚生年金）
社会保険の適用拡大により、以下の条件をすべて満たすと年収106万円を超えた時点で厚生年金・健康保険への加入義務が生じます。

従業員101人以上の企業に勤めている

週20時間以上働いている

月額賃金が88,000円以上（年収換算で約106万円以上）

勤続1年以上（または見込みあり）

学生ではない

👉 厚生年金に加入すると将来の年金は増えますが、手取り額は一時的に減る点に注意が必要です。

③130万円の壁（社会保険の扶養）
配偶者の扶養に入っている場合、年収130万円を超えると扶養から外れて自分で社会保険料を支払う必要があります。

👉 社会保険料の負担が一気に増えるため、130万円の壁は多くの方にとって実質的な「手取りの限界点」となっています。

④150万円の壁（配偶者特別控除）
年収150万円以下であれば、配偶者は**配偶者特別控除の満額（38万円）**を受けられます。ただし、年収が150万円を超えると、控除額は段階的に減少します（年収201万円まで）。

⑤200万円以上は「壁」ではない？
年収が200万円を超えてくると、もはや「扶養に入るかどうか」ではなく、自立した働き方のフェーズになります。税金・社会保険をしっかり納める代わりに、将来の年金や保障も充実していくことになります。

年収の壁を意識した働き方の工夫
壁の手前で調整する（短時間勤務など）

あえて壁を超えてフルタイムに移行する

扶養範囲内で得られる副収入（例：在宅ワーク）を検討する

壁を「避ける」だけでなく、「超える価値があるか」をしっかりシミュレーションしてから判断することが大切です。

まとめ
壁の種類 　　　　　　　　　年収 　　　　内容
所得税の壁 　　　　103万円 　　　　所得税が非課税に
社会保険の壁① 　　　　106万円 　　　　一定条件下で厚生年金加入が必要
社会保険の壁② 　　　　130万円 　　　　扶養から外れて自己負担が発生
配偶者特別控除の壁 150万円 　　　　控除額が減少
自立ライン 　　　　 200万円〜　　　 自分で全ての保険・税を負担

年収の壁に関する最適な働き方は、家庭の事情や将来設計によって異なります。「損をしないために」ではなく、「どう働きたいか」をベースに考えることが、これからの時代には求められます。