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2025.5.16 ブログ NEW
所得税の税制改正について
みなさんはじめまして。
税理士法人LECTのスタッフ、森嶌(もりしま)です。
これから度々ブログ書かせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
今年の5月は涼しいですね。
夜中は寒い日もあるくらいです。
日中の寒暖差が大きいので、皆様どうかお体にはお気をつけてお過ごしください。
今回は税制改正されました所得税の内容について書きます。
所得税は日本の税制の中で重要な位置を占めており、毎年改正が行われることがあります。
税制改正は、納税者にとって影響が大きいため、その内容を正確に理解することが不可欠です。
今回は、最近の所得税の税制改正について解説し、変更点やその影響を具体的な例を交えて説明します。
1. 最近の税制改正の概要
最近の所得税の税制改正では、以下のような主要なポイントが取り上げられています。
a. 基礎控除の引き上げ
• 改正内容: 基礎控除額が引き上げられ、所得税の負担が軽減されます。具体的には、基礎控除は38万円から48万円に増額されました。
• 影響: これにより、所得が低い納税者に対する税負担が軽減され、手取り収入が増える可能性があります。
b. 所得税率の変更
• 改正内容: 所得税の税率が見直され、一定の所得層に対する税率が引き下げられました。例えば、課税所得が900万円を超える層の税率が40%から37%に変更されました。
• 影響: 高所得者に対する税負担が軽減され、消費の促進につながることが期待されています。
2. 税制改正による具体的な影響
税制改正の影響を具体的に見ていきましょう。以下は、改正後の納税者のケーススタディです。
ケーススタディ 1: 夫婦共働き家庭の税負担計算(改正前)
• 夫(課税所得700万円)の税負担:
o 基礎控除: 38万円
o 課税所得: 700万円 – 38万円 = 662万円
o 所得税率:
195万円以下: 5%
195万円超〜330万円以下: 10%
330万円超〜695万円以下: 20%
695万円超: 23%
これを計算すると、
o 195万円 × 5% = 9.75万円
o (330万円 – 195万円) × 10% = 13.5万円
o (662万円 – 330万円) × 20% = 66.4万円
o (662万円 – 695万円)の部分は23%が適用されないので計算外となります。
夫の合計税負担: 9.75万円 + 13.5万円 + 66.4万円 = 89.65万円
• 妻(課税所得300万円)の税負担:
o 基礎控除: 38万円
o 課税所得: 300万円 – 38万円 = 262万円
o 所得税率:
195万円以下: 5%
195万円超〜330万円以下: 10%
これを計算すると、
o 195万円 × 5% = 9.75万円
o (262万円 – 195万円) × 10% = 6.7万円
妻の合計税負担: 9.75万円 + 6.7万円 = 16.45万円
• 合計税負担(改正前):
o 夫: 89.65万円 + 妻: 16.45万円 = 106.1万円
ケーススタディ 2: 夫婦共働き家庭の税負担計算(改正後)
• 基礎控除の引き上げ: 48万円に増額
• 夫(課税所得700万円)の税負担:
o 新しい課税所得: 700万円 – 48万円 = 652万円
o 所得税率:
195万円以下: 5%
195万円超〜330万円以下: 10%
330万円超〜695万円以下: 20%
695万円超: 23%(652万円は695万円以下のため適用外)
これを計算すると、
o 195万円 × 5% = 9.75万円
o (330万円 – 195万円) × 10% = 13.5万円
o (652万円 – 330万円) × 20% = 64.4万円
夫の合計税負担(改正後):
o 9.75万円 + 13.5万円 + 64.4万円 = 87.65万円
• 妻(課税所得300万円)の税負担:
o 新しい課税所得: 300万円 – 48万円 = 252万円
o 所得税率:
195万円以下: 5%
195万円超〜330万円以下: 10%
これを計算すると、
o 195万円 × 5% = 9.75万円
o (252万円 – 195万円) × 10% = 5.7万円
妻の合計税負担(改正後):
o 9.75万円 + 5.7万円 = 15.45万円
• 合計税負担(改正後):
o 夫: 87.65万円 + 妻: 15.45万円 = 103.1万円
改正による影響のまとめ
影響の分析
• 減少額:
o 合計税負担の減少額は 106.1万円 – 103.1万円 = 3万円
• 実質的な負担軽減:
o 夫婦共働き家庭においては、基礎控除の引き上げと所得税率の見直しにより、合計で3万円の税負担が軽減されました。これは、家計において大きな影響を与える可能性があり、特に育児費用や住宅ローンの返済に充てることができます。
4. 今後の税制改正の動向
最近の税制改正は、主に所得の再分配や生活支援を目的としています。この流れは今後も続くと考えられます。以下の点が注目されるでしょう。
a. 資産課税の見直し
• 高所得者や資産家に対する課税強化が議論されています。これにより、所得税だけでなく、相続税や贈与税の改正も視野に入ります。
b. 環境税の導入
• 環境問題への対応として、炭素税や環境に配慮した税制の導入が検討されています。これにより、企業や個人の環境への配慮を促進することが期待されます。
5. まとめ
所得税の税制改正は、納税者にとって重要な影響を与える要素です。基礎控除の引き上げや税率の見直しによって、特に中低所得者層への負担軽減が図られています。今後の改正動向にも注目し、適切な税務対策を講じることが重要です。
税理士法人LECT 森嶌